【要約】【構成】 炭酸カルシウムの表面が硫酸バリウムにより被覆処理されてなる表面処理炭酸カルシウム。
【特許請求の範囲】【請求項1】 炭酸カルシウムの表面が硫酸バリウムにより被覆処理されてなる表面処理炭酸カルシウム。 【請求項2】 硫酸バリウムの被覆量が炭酸カルシウム100重量部に対し0.5〜10重量部である請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム。 【請求項3】 炭酸カルシウムの水懸濁液を攪拌しながら、水可溶性バリウム化合物水溶液を添加し、次いで水可溶性硫酸化合物水溶液を添加した後、脱水・水洗・乾燥することを特徴とする表面処理炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項4】 炭酸カルシウムが、粒度分布より得られた25重量%粒径D25と75重量%粒径D75の比D25/D75(分散指数A)が5以下であり、かつ50重量%粒径D50が5μm以下である請求項3記載の製造方法。 【請求項5】 水可溶性バリウム化合物が塩化バリウムである請求項2又は3記載の製造方法。
【請求項6】 水可溶性硫酸化合物が硫酸及び/又は硫酸ナトリウムである請求項3乃至5記載の製造方法。 【請求項7】 炭酸カルシウム100重量部に対し、0.5〜10重量部の硫酸バリウムが炭酸カルシウム表面に処理されるように、水可溶性バリウム化合物及び水可溶性硫酸化合物を炭酸カルシウム水懸濁液中に添加する請求項3乃至6記載の製造方法。 【請求項1】 炭酸カルシウムの表面が硫酸バリウムにより被覆処理されてなる表面処理炭酸カルシウム。
【請求項2】 硫酸バリウムの被覆量が炭酸カルシウム100重量部に対し0.5〜100重量部である請求項1記載の表面処理炭酸カルシウム。
【請求項4】 炭酸カルシウムが、粒度分布より得られた25重量%粒径D25と75重量%粒径D75の比D25/D75(分散指数A)が5以下であり、かつ50重量%粒径D50が5μm以下である請求項3記載の製造方法。 【請求項5】 水可溶性バリウム化合物が塩化バリウム及び/又は水酸化バリウムである請求項3又は4記載の製造方法。
【請求項7】 炭酸カルシウム100重量部に対し、0.5〜100重量部の硫酸バリウムが炭酸カルシウム表面に処理されるように、水可溶性バリウム化合物及び水可溶性硫酸化合物を炭酸カルシウム水懸濁液中に添加する請求項3乃至6記載の製造方法。
水可溶性バリウム化合物の溶解濃度は特に限定されないが、炭酸カルシウム懸濁液中で充分分散するよう、また後に加える硫酸化合物との反応が炭酸カルシウム表面で均一に進むように、あまり高濃度とならない方が良く、例えば20重量%以下が好ましい。 【発明の詳細な説明】【0001】【産業上の利用分野】本発明は、炭酸カルシウム表面を硫酸バリウムにより表面処理してなる表面処理炭酸カルシウムに関するものである。
さらに詳しくは、炭酸カルシウム単独では耐酸性に乏しいという問題を解消するとともに、硫酸バリウム単独では比重が大きすぎるという問題を解消し、耐酸性及び軽量性を備えた硫酸バリウム被覆炭酸カルシウムに関するものである。
【0003】これらの炭酸カルシウムはそのままの状態で、もしくは分散性の改善、高機能性付与を目的として必要に応じて樹脂酸、脂肪酸に代表される有機系表面処理剤により表面処理され、製紙、塗料を始めとする多くの工業分野で使用されている。 【0004】しかしながら、炭酸カルシウム本来の性質として酸に対しての反応性が強く、pH5程度の弱酸性溶液においても短時間で反応し、所望の炭酸カルシウムの粒度・形状を損なう、反応により炭酸ガスを発生する、等さまざまな問題が起きる。 例えば、塗料中に配合した場合、近年問題となっている酸性雨等により塗膜表面に露出した炭酸カルシウム部分が反応し、塗膜の劣化、光沢の低下等をきたしている。 【0006】これら何れの製法により得られた硫酸バリウムにおいても耐酸性、耐アルカリ性に優れ、経時による変質がないことから不変白と呼ばれ、製紙、塗料等多くの分野で使用されている。 【0007】しかしながら、硫酸バリウムは比重が4.3〜4.4と高く、軽量化を目的とする分野には使用できず、また、例えば塗料において、乾燥塗膜の厚みを厚くするためには炭酸カルシウム等と比較して多量に配合しなければならずコスト的にも不利である。 【0011】本発明に用いられる炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム及び沈降製炭酸カルシウムのいずれでもよいが、良好な分散性を有するものが好ましい。 従って、本発明に好適に用いられる炭酸カルシウムは前記分散指数Aが5以下のものが好ましく、より好ましくは3以下のものである。 ただし、分散性が良好である炭酸カルシウムを用いても全体的に粗い粒子の場合は表面積が小さいため表面の吸着力が弱く、炭酸カルシウム表面への硫酸バリウムの表面処理が困難となる場合がある。 従って、粒度分布より得られた50重量%粒径D50が5μm以下であるのが望ましい。 【0012】炭酸カルシウムの水懸濁液濃度は、5〜60重量%の範囲が好ましい。 D50の小さな粒子、即ち平均粒子径の小さな粒子の場合はあまり液濃度が高くなると均一な懸濁液を得ることが困難となるため、適度な液粘度となるような濃度を設定する必要がある。 その目安としては、ブルックフィールド粘度60rpm で2000cps 以下が適当である。 【0013】本発明に用いられる水可溶性バリウム化合物は、常温の水に溶解するものであれば問題なく使用可能であるが、入手が容易でコスト的に有利であることから塩化バリウムを使用するのが好ましい。 【0014】次いで、添加する水可溶性硫酸化合物についても、常温で水に溶解するものであれば問題なく使用可能であるが、バリウム化合物と同様、デリバリー及びコストの観点から硫酸あるいは硫酸ナトリウムを使用するのが有利である。 また、その溶解濃度についても特に限定されないが、硫酸等を用いる場合は、バリウム化合物と反応する前に懸濁液中の炭酸カルシウムと反応する可能性もあるので、低濃度で加えるのが好ましい。
【0016】バリウム化合物と硫酸化合物の反応は、硫酸化合物添加後すみやかに進行するため、硫酸化合物は短時間に大量に添加するよりも、長時間かけて徐々に添加する方が好ましい。 硫酸化合物の添加後は常法に従い脱水を行った後、バリウム化合物と硫酸化合物の反応により生成したフリーの塩を系外に除去する目的で水洗し、乾燥後粉末化することにより、硫酸バリウムにより表面処理された炭酸カルシウムの粉体が得られる。 【0017】尚、本文中記載の炭酸カルシウムの粒度分布の測定は以下の方法による。 測定機種:遠心沈降光透過式粒度分布測定器SA−CP−2型(島津製作所)分散溶媒:ヘキサメタリン酸ソーダ 0.2重量%溶液分散方法:炭酸カルシウムを分散溶液中に所定の濃度(通常2重量%以下)となるように加え、シェーカーにより10分間分散。